「お気に入りを記録したい」という癖(ヘキ)

レトロスポットをめぐるブログ「てくてくレトロ」をやっている。

基本的にめちゃくちゃスローペースの更新なんだけど、今年行った場所は今年中に書き切りたいと思い、最近は怒涛の勢いでブログを更新している。

2020年の更新を振り返ると、

【3月:1記事/4月:1記事/5月:1記事/10月:1記事/12月:6記事】

コロナで出歩けなかったのもあり、年間を通してもかなり少ない。そして12月もそこまで書いてないな……と、記事数を数えてみて気づいた。でもほかの月と比べたら6倍なので、これはめちゃくちゃ書いているってことで良いでしょう(自分比)。

てくてくレトロは私の主観で「レトロだ」と思った場所を紹介している。純喫茶やカフェが多い。あとは、下町とか街自体にレトロ感がある場所など。アクセサリーショップなど、「ん、これってレトロ?」みたいな場所も紹介しているけれど、そのへんはゆるくやっている。

2018年5月に開設し、ちまちまと更新を続け、現在49記事。いわゆる「収益化を目指すブログ」だと、毎日更新で100記事目指そ! みたいなのがスタンダードだと思うので、そういう方々からみたらびっくりするくらい記事数は少ないし、内容としても正直、そんなにPVを稼げるようなものではないし、SEO対策もあんまりやっていない。

広告もずっと貼ってなくて、先月くらいからやっとGoogleアドセンスを張り付け始めた。だからといって「収益化できるブログ」をゴリゴリ目指そうと思ってはおらず、まぁコーヒー代くらい稼げたらいいかな、と。現状、一ヶ月でコーヒー1杯分くらいですね。

お金にならない一方で、手間はめちゃくちゃかかる。まず、WordPressでサイトを作っているので、その辺の管理に労力を使う。
ひとつ記事を書くのにも、けっこう手間がかかる。写真を加工して、サーバー容量圧迫しないようにリサイズ&圧縮。記事によってはお店の歴史とかも調べる。文章を書いて、見出しとかの設定をして、アイキャッチ画像用にイラストも描く。

文字数は、だいたい2,000文字くらい? 記事にもよりますが。2,000文字は、「それなりに内容のあるものをサクっと書きたい」ときにちょうどいいボリュームです、個人的に。でも、サクっといっても5分とかで書けるようなものではない。文章だけで、1記事につき数時間はかかっているかな。

とまぁ、書き出してみるとそれなりの作業量だ。同じくらいの作業量を「タダでやってよ」って言われたらブチ切れると思う。

じゃあなんで書いてるのかというと、もう単純にそういう習性というか、癖(ヘキ)なんだと思う。「記録癖」とでも言うのだろか。もともと食べ歩きが好きで、大昔にはアメブロで食べ歩きブログをやっていたり(閉鎖済)、食べログで100件ほど口コミを書いていたり、「自分が行った場所を記録しておきたい」という思いが強かった。

後から見返して、「このお店のこれ、おいしかったな〜ムフフ」ってやりたい。つまりは、自分で読むために書いていた。お気に入りの品をコレクションして、眺めてニヤニヤしたい、みたいな感覚に近い。

アメブロやら食べログやらで文章を書いていた頃、つまりライターになる前には、文章を書くときには「お気に入りをコレクションする」感覚があった。好きなものについて書き、あとから読み返して幸せを反芻する。

だけどライターになり、文章を書くことでお金をもらうようになってから、「お金にならないのに書くのってどうなの」という感情がたまに顔をのぞかせるようになった。mixiやアメブロ、食べログなどで金にならん文章を書きまくって、「書くこと」自体が、そしてそれを読み返す時間が、とても幸せだったはずなのに。

「好きなことが仕事になったらいい」と思って文章を書くことを仕事にしたはずなのに、だんだん、費用対効果の良い仕事、少ない労力でより多くの対価がもらえる仕事がいいな、と思うようになっていった。生きるのにお金は必要だ。1日は24時間しかなく、同じ時間かかる仕事なら単価が高いものを選んだほうがいいってのはまぁ正論だよなと思って、「そうするべきだ」と自分に言い聞かせて。

でもこれ、本当に「正しい」の? と、何かが引っかかっていた。

「正しさ」は人によって違うということに気づいたのは、それなりに歳を取ってからだ。気づいたはずなのに、それでも私は他人が語る「正しさ」に影響され、自分の選択を不安に思い、迷い、時に選択を誤る。その選択も、私にとって間違いだというだけで、誰かにとっては正解だったりもする。
つまりは、選択肢そのものが絶対的な「正解/不正解」ということはなくて、それが正しい選択かどうかは、選ぶ側の基準によって相対的に決まるものなんじゃないのか。

ここ最近ブログを続けて書いているうちに、昔のただ書いているのが楽しかったときのことを思い出した。久しぶりに食べログの口コミを見返してみたけど、すごい熱量でけっこうな分量書いてるんだよなぁ。「昔は食べログの口コミを100件くらい書いてたよ」と言った時に「なんのために??」という反応をされたこともあるけれど、なんのためでもないのよ、まぁ楽しかったのよ、書くのが。

人からみたら何のためにやっているのかわからないようなことでも、自分が楽しければ、そこに価値はある。無駄かどうかなんて、勝手に決めないでくれよ。笑うのは構わないけど、邪魔はしないでね、という気持ち。

どうするのが正しいのか、何を書けば正解なのか、そんなのはもういいんです。「お気に入りを記録したい」という衝動に従って、ゴリゴリと書いていきたいものです。