[神田]かんだやぶそば

[神田]かんだやぶそば

「ありがとう存じまーす」

特徴的なあいさつ。

歌うように注文を読み上げる女将。

数年前に火事で焼け、2014年に建物を修繕して、再スタートした「かんだやぶそば」に、ランチで訪問。

隣の席には、かまぼこをツマミに日本酒を飲みながら、本を読む人。

あとから入って来た常連らしきおじいさんも「お酒、常温でね」と注文をしている。

いい店だ。

下町では、昼から呑むのは珍しくないことなのだ。

私は、山かけそばを注文。仕事中だったので、お酒はなしで。

ピタっとした表面には、きざみのりがふんわりかかっている。

山かけの中に箸を差し入れて中をさぐると、蕎麦の気配。

ズルリと引き出し、すする。

おいしい。これは確かに、お酒が欲しくなる。

蕎麦の美味しさがわかるようになったのは、いつからだろうか。

いや、今もまだ、わかりきっていない気もする。

おちょこをひょいひょい空けながら、美味しそうにざる蕎麦を食べる老人を見て、そう思う。

「蕎麦湯、こちらに失礼しますね」

急須と湯のみが置かれる。お茶のようだ。

食べ終わった山かけの中に蕎麦湯を注ぎ、飲み干す。

残った蕎麦湯は、湯のみで飲んでみた。

少しとろりとして、白くにごっている。

味は……しない。

「ありがとう存じまーす」

お会計を済ませて、外に出た。

蕎麦湯の味もわかるようになるには、まだまだかかりそうだ。

 

かんだやぶそば

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